海外での結婚と税務申告:入籍のタイミングに注意

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海外での結婚と税務申告

海外在住者が結婚をする際には、単に婚姻届を出すだけではなく、税務申告の影響も考慮する必要があります。
婚姻に伴い所得税率が変更となったり、国によっては引っ越し費用、生命保険料などは税金控除の対象となる場合があります。

特にアメリカなど、全世界の世帯所得(給与収入、家賃収入、金融商品の利子など)の税務申告が毎年必要な国では、入籍のタイミングが税金に大きく影響することがあります。

アメリカでは12月31日時点の婚姻状況によって、その年の税務申告の方法が決まります。
例えば、2024年12月3日に結婚した場合、2024年分の確定申告は「既婚(Married)」として行う必要があります。

  • 夫婦合算申告(Married Filing Jointly)妻の日本の収入もアメリカで申告する義務が発生する。
    年末の入籍を検討している方には、年初の入籍に変更いただく方がよいかもしれません。
  • 夫婦別申告(Married Filing Separately)を選べば、妻の日本の収入を申告しなくてもよいが、税額が不利になる可能性あり。
  • もし2025年1月に入籍していれば、2024年分は「独身(Single)」として申告可能で、日本の収入をアメリカで報告する必要がない。

アメリカでは婚姻関係で以下のような税控除の対象となる項目があります。

  • 配偶者控除(Spousal Exemption)
  • 子供のいる家庭向け税額控除(Child Tax Credit)
  • 住宅ローン利息控除(Mortgage Interest Deduction)
  • 医療費控除(Medical Expense Deduction)

フランスやドイツでも、居住者に対して全世界所得を申告する義務がありますが、アメリカと異なり、課税方法に柔軟性があります。

  • フランスでは「世帯課税(Foyer fiscal)」が基本で、配偶者の収入も合算される。
  • ドイツでは婚姻後、税クラス(Steuerklasse)が変更されるため、税負担に影響を与える。
  • ドイツでは引っ越し費用(Umzugskosten)は確定申告で税金控除の対象。
  • 教育費、子供手当(Kindergeld)、医療費の一部控除が可能。

イギリスでは、個人の所得税(Income Tax)は基本的に個人単位で計算されます。
そのため、結婚の有無によって税務申告に大きな影響はありません。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 「結婚控除(Marriage Allowance)」を利用すると、低所得の配偶者が一部の所得税の控除を受けられる。
  • 夫婦の一方がイギリスの居住者でない場合、全世界所得の課税対象となる可能性がある。
  • 住宅購入時のスタンプ税控除(Stamp Duty Exemption)や育児費控除(Childcare Tax Credit)が利用可能。

中国では、税制上の課税対象は基本的に個人単位であり、結婚の影響は限定的です。
ですが中国で居住者と見なされる場合、全世界所得が課税対象となるため注意が必要です。

  • 中国の居住者とみなされる基準は「183日ルール」に基づく。
  • 夫婦合算申告の制度はなく、個人ごとに所得税を計算する。
  • 日本での収入がある場合、中国での申告義務が生じる可能性あり。
  • 住宅ローン利息控除、教育費控除、医療費控除の適用が可能。

インドでは、所得税の計算は基本的に個人単位で行われますが、配偶者控除などの税制上の優遇措置があります。

  • インドの居住者とみなされる基準は「183日ルール」に基づく。
  • 夫婦合算申告の制度はなく、個人単位で所得税を申告。
  • 住宅ローン控除(Home Loan Deduction)や医療費控除が利用可能。
  • 海外所得がある場合、二重課税防止協定(DTAA)の適用を検討する必要がある。

ベトナムでは、個人所得税(PIT)は累進課税制が採用されており、居住者か非居住者かによって課税範囲が異なります。

  • 183日以上ベトナムに滞在すると、居住者として全世界所得に課税される。
  • 夫婦合算申告の制度はなく、個人単位で所得税を計算。
  • 住宅ローン利息控除や扶養控除が利用可能。
  • 非居住者の場合、ベトナム国内の所得にのみ課税されるが、税率は固定(通常20%)。
  • 海外所得がある場合、二重課税防止協定(DTAA)に基づいて減免措置を受けることが可能。

事前に専門家に相談しておこう!

海外で結婚する場合、税務申告の影響を考慮して入籍のタイミングを慎重に決めることが重要です。
またご自身、お相手の国籍などによってもことなる場合があります・

特にアメリカのように12月31日時点の婚姻状況で申告方法が決まる国では、年明けに結婚することで税負担を軽減できる可能性があります。

また、国によって引っ越し費用、住宅ローン、教育費、医療費などの控除制度が異なるため、結婚後の生活設計にも影響を与えます。必ず事前に居住国の税制を確認し、必要に応じて税理士や会計士など専門家に相談することをおすすめします。

※2025年2月23日時点の情報です


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